あまりにも古いタイプの金庫を発見、開け方がわからない

とても古い金庫

じーちゃんの家には蔵があった。小さいころ、その蔵に入ってみたくてじーちゃんの部屋から勝手に鍵を拝借し、その蔵を開けようとしたら、寸でのところでじーちゃんに見つかり物凄い痛いゲンコツを食らったことがあった。可愛い(?)孫ですら入ることを許されないその蔵に何があるのか、どうしても知りたくて、オヤジに蔵の中身を聞いてみたことがあったけど「あの蔵に入れるのはオヤジだけ」とつれない返事が返ってきただけだった。

じーちゃんが死んだとき、もちろん悲しい気持ちもあったけれど、「これであの蔵の中身が何かを知ることができる」という不謹慎な気持ちも抱いていた。さて一体何が入っているのか…。

オヤジがじーちゃんの蔵の中に入るけどお前もどうだと聞いてきたとき、俺は「待ってました!」という態度をおくびにも出さず、でもしょうがねーな、じーちゃんのためだもんなみたいな感じで、それこそ神妙な面持ちを心掛けてオヤジたちの後をついて行った(でも後から親父に『ぶんぶん振ってるしっぽが見えたぞ』と言われてしまったけれど)。鍵を開けてみると、まず目に飛び込んできたのはマリリンモンローの等身大パネルだった。それを見たときにイヤーな予感はしたんだが、めげずに物色していたら大量のエロ本やら謎のDVDやらに埋もれて、何と金庫を発見した。じーちゃんの形見がエロ本になるかと危惧していた俺はちょっと嬉しかった。いやちょっとどころじゃない。もしかしたらものすごいお宝が入っているかもしれないじゃないか。でも残念なことにあまりにも古いタイプの金庫なので開け方がわからない。そこで元レスリング部のオヤジが工具を使って解錠、というか破壊した。俺たちは中身を見て目を疑った。何故ならその金庫からは…過去のアイドル達のファンクラブ会員証の数々が出てきたからだ。俺は一番新しそうなアイドルの会員証を財布に入れ、形見として持ち歩くことを決めたのだった。